河野産科婦人科医院

~ 無痛分娩 ~

宮崎県児湯郡高鍋町北高鍋2605
Tel:0983-22-0341

無痛分娩

学生時代、内科実習で中年の女性の患者さんを担当した時にその方から、『学生さん、あなたが産婦人科のお医者さんになったら、お産のあの痛みをどうにかしてくれないかしら』と言われ、お産の痛みがかなり強いものであることを理解しました。これが産婦人科を選ぶきっかけとなり、開業したら無痛分娩をやろうと決心しました。

当院では開院当初から無痛分娩を『普通のお産から痛みのみを取り除いたお産』と定義して行ってきました。“無痛分娩”と簡単に言いますが、取らないといけない痛みの領域は陣痛すなわち子宮の痛みから胎児が通って出て来る産道の末端、膣入口部まで広範囲に亘ります。さらにお産は長丁場です。 何時間もかかります。痛さも半端ではありません。お産の痛みを完全に取ることは至難の業です。

無痛分娩には『硬膜外麻酔』という方法を用います。これは硬膜外腔という空間に麻酔液を注入する、原理的には簡単な方法ですが、広範囲かつ強い痛みを長い時間取る訳ですから、濃い麻酔薬を使う訳にはいきません。薄い麻酔薬で痛みを100%取る、これには熟練した技術が必要です。誰にでもできるというものではありません。

私は開院以来35年4ヶ月、R7年4月21日の時点で4948例の無痛分娩を行ってきました。行った一つ一つの無痛分娩をその度に反省し、今後に役立てるやり方を不断に行ってきました。100%痛みを取る無痛分娩のやり方は既に確立しております。

『硬膜外麻酔』は基本に忠実に行えば極めて安全な麻酔方法です。100%痛みがとれますと無痛分娩のメリットが多数出て来ます。

最も著しいのはリラックス効果です。痛みが取れることで緊張が取れ、恐怖心も取れます。すると精神的ブレーキがはずれますのでお産の進行が早くなります。また産道を取り囲む筋肉がゆるんで産道が軟らかくなりますので児頭が下がりやすくなります。

痛みが完全にとれますと、赤ちゃんがスルっと生まれ出る瞬間が分かり、「感動した」と言われる方が沢山おられます。「今、生まれた。今からこの子の一生が始まるんだ」というその瞬間を体感したためと思われます。これは普通分娩では味わえない感動です。

いきまないお産もできます。痛みが100%取れるといきみもなくなります。しかし陣痛は来ますのでお産は少しずつ進行します。時間さえ掛ければ、そして経産婦さんであれば、分娩台に横たわっているだけで赤ちゃんが自然に出てきます。初産の方はさすがに膣の出口が硬いので児頭を通すほど拡がらず、切開は必要になります。 以前、強度の近視があって過去に眼底出血を起こした妊婦さんがおられました。いきむと眼底出血が再発して失明する危険性があるため、眼科の先生から帝王切開を勧められましたが、「帝王切開はしたくない」との強い希望があり、無痛分娩をしました。赤ちゃんの頭が膣の出口まであと1.5cmのところまで降りてきたのでそこから、妊婦さんには「いきんだらだめですよ」と指示して、吸引分娩して児を娩出しましたが、眼底は全く変化ありませんでした。

痛みがない分、産後の回復が早いです。その日のうちに廊下を歩かれている妊婦さんもおられます。

普通分娩では、お産が無事に終わっても特に難産だったら“もうお産はこりごり”と、次のお産をひかえる方がおられますが、無痛分娩だと何人でも産みたいという気持ちになります。また産みたいという気持ちは分娩が終わって病室に戻られる頃には出て来ているようです。

当院では無痛分娩を『普通のお産から痛みのみを取り除いたお産』と定義づけております。つまり自然陣痛が発来して入院、そして無痛分娩の操作をします。ですから土曜日も日曜日も夜中も24時間対応しております。いつでも痛みを取ってもらえるという安心感は妊婦さんの気持ちを安定させ、妊娠生活を楽しいものにします。

お産に急変はつきもの。急いで赤ちゃんを出さないといけない状況になった時、痛みがないので吸引分娩がスムーズに行えます。

私は研修医時代、母校の長崎大学で半年間、麻酔科で麻酔のトレーニングを積みましたが、開業するに当って宮崎医科大学麻酔科(当時 髙崎眞弓教授主宰)で再度半年間麻酔のトレーニングを積みました。麻酔科専属の医師が沢山いるなか、他科の私に沢山の麻酔症例を経験されてもらって麻酔の知識と麻酔技術を培うことができました。私は麻酔科の寛大な気持ちに大変感激し、私の身につけた無痛の麻酔技術は社会に還元しないといけないと思い、また無痛分娩の良さを知ってもらいたい気持ちもあって、無痛分娩の費用はほぼ実費分いただいております。当院ではダブルカテーテル法を用いており、使い捨ての硬膜外麻酔針を2本使いますので、現在2万円いただいております。

開院当初は無痛分娩の知名度はまだまだ低く、H2年の経膣分娩数に対する無痛分娩数の割合は9.6%と10%いきませんでしたが、以後右肩上がりに増えていき、最近4年間はR3年81.2%、R4年89.1%、R5年85.8%、R6年82.6%といずれも80%を超えております(下のグラフ参照)。当院の無痛分娩の評価が徐々に高まってきたものと判断しております。

※妊娠初期にBMIが27を超える方の無痛分娩は、状況によってはできないこともあります。

分娩総数グラフ

分娩総数概要

安産教室では、無痛分娩について詳しくお話しています。
無痛分娩は、欧米では一般的ですが、日本ではまだまだ少数です。
当院では普通分娩にするか無痛分娩にするか、妊婦様の御希望に添っております。
臨月になりましたら、まず妊婦さんのご希望をお伺いしております。

羽ラベル 無痛分娩を希望する

羽ラベル 無痛分娩を希望しない

羽ラベル 無痛分娩を途中から希望するかもしれない

そのお考えを基に 妊婦健診をしながら、母子共に安全な分娩方法を決定します。
無痛分娩の料金は自費で 20,000円 です。
無痛分娩をされた方の喜びの声を掲載しておりますので参考にしてください。
無痛分娩を希望することにより、お産の痛みに対する不安を感じない快適な妊娠生活を 送ることができたという方もおられます。

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